2017年3月2日(木)
第339回高知県議会 平成28年2月定例会 一般質問

県議会のホームページで、議会の録画がご覧になれます(別窓で開きます)


■大野たつや

一昨年の県議会議員選挙戦から早2年が経とうとしています。この約2年間だけでも様々なことがありましたが、県民の皆様をはじめ、尾ア知事、県庁執行部の皆様、先輩、同僚議員の皆様など多くの方々に大変お世話になり、これまで県議会議員として活動させていただいておりますことに、心から感謝とお礼を申し上げる者でございます。まだまだ大変微力ではありますが、先人の教えを胸に、初心を忘れず、地域の現場を第一に、県勢浮揚、県民福祉の向上のため精一杯頑張る所存であります。今後とも皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。

さて、私自身、以前の行政マンとしてではなく、政治に携わる立場で地域の方々とお話をさせていただくようになり、特に最近高齢者の方とお話をする中で、お叱りの言葉をいただくことがよくあります。
地域が過疎高齢化とともに疲弊し、なけなしの年金が減らされるなど、明日の生活に対する不安が募る中、テレビを見れば、世界情勢は混乱し、政治家の軽い言葉や途方もない金額の外国への支援などが報道されている現状に、多くの皆様が、今の政治に対する不安や憤りをもたれ不満を口にされます。
今は、そうした声に対して、大臣も国会議員も、地方議員も、皆さんそれぞれの立場、立場で懸命に頑張っておられますから、と答えるのが精一杯の状況で、今の政治が住民、県民の生活とかけ離れている実態を日々強く感じさせられています。政治や行政にできることには限りがありますが、今地域に住んでいる人の不安や不満を少しでも取り除いていくことも、政治や行政の大切な役割の一つではないかと思っています。そうした、地域の皆様の生活実態やいただいた言葉を基に、本日の質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
まず、
来年度平成29年度の当初予算についてお伺いします。
本県の新年度、平成29年度当初予算案においては、産業振興計画の更なる推進や海外展開による経済の活性化策、子ども食堂への支援、日本一の健康長寿県づくり、南海トラフ地震対策、幕末維新博をはじめ観光振興の推進などに、いわゆる積極的な予算計上がされていると思います。特に歳入面においては、地方交付税の圧縮などにより一般財源総額が減少する中で、県税収入は659億円余りと昨年度より4億8300万円の増加となるなど、経済の活性化策、地産外商や公共投資など尾ア県政のこれまでの取り組みが成果として表れてきている面もあり、厳しい財政状況の中での予算の組み立てには大変ご苦労もあったかと思いますが、あらためて知事をはじめ執行部の皆様の取り組みに対して敬意を表するものであります。国は、平成29年度予算案において、いわゆるリーマン・ショック後に経済対策として設けられてきた、地方交付税の「歳出特別枠」を全体で2,500億円削減し圧縮、その減額分を、保育士・介護人材等の処遇改善などの「一億総活躍社会関連事業」に充てることや、公共施設の集約化や老朽化対策などのために確保するとしています。また、地方創生のための「まち・ひと・しごと創生事業費」も前年度と同額の1 兆円が確保されるなど、地方にも一定配慮された形が示されてはいますが、いずれも財源としては一時的な性質のものであり、地方の固有財源である地方交付税については、今後特にその確保と維持の取り組みをしっかり進めていく必要があると思います。知事の提案説明においても、地方交付税の安定的確保などについて国にさらに政策提言を行うとの説明もありましたが、来年度平成29年度の国の当初予算案における地方財政に関するご所見並びに今後の国への要望などの取り組みについて、尾ア知事にお伺いさせていただきたいと思います。

これまで、尾ア知事は課題解決先進県のリーダーとして、県内各市町村を回り地域住民、県民の声を聞き、そして、その声を産業振興計画や日本一の長寿県構想、南海トラフ地震対策などへと反映されてまいりました。特に中山間対策に関しては、住み慣れた地域で暮らし続けられる高知県づくりを目指し、集落活動センターやあったかふれあいセンターなど、多くの有効な施策を実現、具現化されてこられました。
今議会においても、組織機構改革の一つとして、中山間対策及び交通・運輸政策に取り組む体制を明確にするため、これまでの中山間対策運輸担当理事を廃止し、新たに中山間振興、交通部を設置する条例の改正案が提案されております。過疎高齢化が加速度的に進む中山間への対策に、県としてしっかりと取り組みを進めていくことの表れでもあり、今後の取り組みに大きな期待がされるところでもあります。
中山間対策は、森林や田畑を守り災害から人命を守る視点、安定的な農作物を維持し食べ物を確保するという視点など、高知県のみならず人が生活していくうえでの基本、国土を守る重要な課題でもあります。そうした重要な意味を持つ中山間地域において、近年、特に過疎高齢化とともに商店や公共交通が減り、移動手段や買い物が困難となっています。国の政策などによって地域からは公共交通機関がどんどん少なくなり、住民の足が奪われる中、近くに商店もなくなった地域で、高齢により車の運転ができなくなり、買い物にも行けない状態の高齢者が多くなっています。生活していくために、苦渋の決断として山間部の住み慣れた家、地域を出ざるをえなくなった高齢者。逆に住み慣れた地域、住み慣れた我が家で暮らすため、食料品や日常生活品の購入に、少々危険でも超低速ノロノロ運転でも、遠く離れた商店まで、自動車を走らせざるを得ない高齢者もいます。移動手段がなくては、医療や介護サービスを受けることも困難となります。生活に必要な物を買うことさえもが困難になってきている状況の地域が増え続け、住み慣れた地域に住みたくても、生活ができる便利な場所に移らざるをえない人が多くなっています。
そうした、現在の中山間地域における現状に対する課題認識と、新たな中山間振興交通部における、
今後の中山間対策の重点施策ついて尾ア知事にお伺いしたいと思います。私もいわゆる中山間地域と言われるところに住んでいますが、移動手段と併せて特に深刻に感じているのは、地域における人手不足、特に担い手不足の課題です。私の父親世代、60代70代の世代、いわゆる団塊の世代と言われる世代の方は、技術や経験が豊富で衣食住に必要なものをはじめ、建築や土木、建設などにおいても、しっかりとした物づくりをされてきた方、技術をもたれている方が多くおられます。その方たちは様々な形で地域の中心でもあられ、物作りだけなく、これまでの中山間地域を支えられ、同時に地域づくりも担ってこられた方が本当に多くいらっしゃいます。そうした方々が高齢化し、リタイヤを余技なくされる方が増える中、その方たちに「後継ぎは」という話をしても、「子どもは県外で生活している、高知へ帰ってくる気はなさそうだ」と話される方が多くいらっしゃいます。実際、時代的、世代的にも、団塊の世代の方の次の世代、今の私たち、40代、50代の世代は、良い学校を出て、東京や大阪といった都会で就職し生活することに憧れを持ち目標とする時代でしたので、今現在も田舎を離れ都会で生活している人が多く、逆に田舎の中山間部には、特に後継ぎとなりえる働き盛りの現役世代の人が極端に少ない状況となっています。
そうした時代的な背景もあり、団塊世代の方が多く引退されるであろう10年先には、地域の存続そのものが危ぶまれる状況になっているところが多くあります。そうした中、最近孫ターンという言葉も生まれてきていますが、私たちの世代を超えて次の世代の方、いわゆる孫世代の方の中には、例えばおじいちゃんの経営する農業を継いだりとか、地域に残って頑張っていく意志を持つ若い方が少しずつではありますが、増えてきているように感じます。そうした孫世代や若い世代の方たちに対して、物づくりや地域づくりの大切さを伝えていく取り組みも大切だと思います。生涯教育の意義の一つに「学んで伝える」ということがあります。私は、県議会議員にならせていただく前に教育委員会、生涯学習係、社会教育の担当をさせていただいたこともありました。そこで感じたことの一つに、社会教育、生涯学習や公民館活動が充実している地域は、人も集まり地域活動も盛んで活力があるということです。
子どもから高齢者までが、文化、芸能活動やスポーツなどを通じて、集い、学びあうことにより、地域のコミュニティが強まり、そうした中で幅広い年代の方が技術やノウハウを学び伝えていく。
そうした活動があるところは、高齢者も元気で生きがいを持ち、若者も地域への愛着の心も育まれます。
知事の提案説明においても、担い手不足対策として、若者の県外流出に歯止めをかけるとの説明もありましたが、例えば、現在本県が進めている集落活動センターやあったかふれあいセンターと、社会教育や生涯学習の分野を融合させていくことや、公民館活動との連携の強化、児童の減少により複式学級となった学校の空き教室などを一般に開放して、高齢者や大人と子どもが一緒に学ぶ場所にして、地域の高齢者や大人が子供達と交流しながら技術や知識を伝承する場所にすることなどが考えられます。
担い手や定住対策、地域の活性化策として、若者が地域に残る心を育むことや、集落活動センターなどの活動といったことに、子どもから大人、高齢者までの生涯学習、社会教育を活用し、充実させていくことも、大切なことのひとつではないかと考えますが、尾ア知事のご所見をお伺いしたいと思います。
次に、スポーツ行政についてお伺いします。来年度の組織機構改革の一つとして、「競技力の向上、生涯スポーツの推進、スポーツツーリズムなどの振興などの関係施策を総合的かつ一体的に進める」ため、文化生活部を文化生活スポーツ部に改称し、新たにスポーツ課を設置するとのことであります。
私もスポーツが好きで特にソフトボールや格闘技は一競技者として、まだまだ時間と体力があれば、生涯現役選手として頑張ってみたいと思っているものでありますが、今回のスポーツ行政の一元化は、これまで観光振興部が担ってきたスポーツツーリズム、地域福祉部が担ってきた障害者スポーツ、教育委員会が担ってきた、競技スポーツや生涯スポーツといった各課やセクションが横断的に受け持っていたスポーツ行政を一元化、一体化し、本県のスポーツ全体の振興につなげていくということであり、
私自身、長くスポーツをやらせていただいてきた立場からも、本県スポーツの大きな飛躍に期待もしていますが、スポーツ行政の一元化における文化生活スポーツ部の目指す姿と、果たす役割について尾ア知事にお伺いしたいと思います。
そうしたスポーツ行政の一元化、スポーツの振興に向けた体制強化を図られたうえで、3年後には、東京オリンピック、パラリンピックを控え、今後益々重要な課題となってくるのが競技力の向上であります。
高知県には、野球、サッカー、ソフトボール、バレーボールなどの球技、柔道、空手、レスリングなどの格闘技、さらには陸上、水泳などなど、有望な競技が沢山あります。
また、幸いにして、現在、県内にはそれぞれに多くの競技で優れた指導者が沢山おられます。優秀な指導者が多いということは他県に比べても大きなアドバンテージであり財産だと思います。
昨日の池脇議員の質問に対して、学校の部活動支援として、指導者のリスト化とマッチングを図っていくとの答弁もありましたが、今後、本格的に競技力の向上を目指すうえで、そうした競技団体や指導者、学校や大学ともしっかり連携をして、財政面も含め競技環境の向上を一体となって進めることが、より一層重要なことだと考えますが、田村教育長にご所見をお伺いしたいと思います。

次に
仁淀川の清流保全対策についてお伺いします。
国土交通省が実施している全国1級河川の水質調査によると、4年連続で「水質が最も良好な河川」となった、奇跡の清流仁淀川は、その美しさから、近年写真家の高橋宜之さんが命名したと言われる「仁淀ブルー」の愛称で全国的にも有名となり、川の美しさや、水とのふれあいを求めて、近年多くの人々が全国、世界から訪れるようになっています。仁淀川はその源である石鎚山から、愛媛県の3市町、高知県の7市町村を経由して太平洋へと注ぐ大河であります。仁淀川は本流に大渡ダムという大きなダムがありながらも、中津渓谷や安居渓谷などの、多くの美しい渓谷を有し、豊富な水量により、全国トップクラスの水質を誇ってきたことからも奇跡の清流とも呼ばれています。また、仁淀川は、過疎化による人口の減少による森林の荒廃やダム建設などにより、水源涵養機能の低下や動植物など生態系への影響を受けながらも、流域住民、特に上流、中流域の地域住民の不断の努力により守られてきました。優しくて、いつもそばにいてくれて、ときには洪水により、怒涛の様に怒る姿から、地元では仁淀川を母なる清流と呼ぶ人もおり、仁淀川は流域住民の心のより所、人生、生活に欠かせない川として、親しまれ、愛されてきました。全国的にも守るべき大切な資源、宝となっている仁淀川ですが、これまで高知県清流保全条例、高知県清流保全基本方針などに基づき、平成11年3月には、第1次仁淀川清流保全計画が策定され、以降、流域住民、市町村、県が連携して、仁淀川の清流の保全を図られてきましたが、こんにちでは日本の宝ともなった清流仁淀川を、後世の時代にしっかりと引き継げるよう、さらなる保全対策の措置を講ずる時にきていると考えます。仁淀川保全条例の制定も含めた今後の仁淀川の保全対策について、尾ア知事にお伺いしたいと思います。全国トップクラスの透明度を誇る仁淀川では、釣り・キャンプ・川遊び、そして近年ではカヌーやラフティングなどといった新たな遊びも流行となり、川の水辺利用率は全国トップクラスともなっています。私の生まれ故郷でもある、仁淀川町名野川にも、支流の中津川や長者川が流れ込み、私自身も子どもの頃、学校から帰ると毎日のように釣りや川遊びに出かけ、夏には友人と日が暮れるまで泳いで遊んだりと、仁淀川が生活の一部として、また、遊び場のフィールドとして当たり前のようにあったものでした。近年、仁淀川の観光面における価値の高まりに、流域住民の期待も大きくなってきています。越知町ではアウトドア間連の全国ブランド会社との連携によるキャンプ場整備計画などアウトドア拠点の整備計画が進み、この春からは流域市町村からなる仁淀ブルー観光協議会が、JR西佐川駅を改修し、仁淀ブルースクエアとして、仁淀川地域の観光情報の発信機能を充実させる新たな取り組みを行うなど、観光振興体制の強化も図られてきています。あえて日本一と申しますが、日本で一番美しい川、仁淀川を利活用した観光振興並びに仁淀川流域市町村の連携による観光振興への支援について、伊藤観光振興部長にお伺いしたいと思います。その水質日本一の仁淀川の中流域にある、産業廃棄物管理型最終処分場「エコサイクルセンター」において、昨年、発煙事象が発生し、9月議会において徹底した原因調査と再発防止の取り組み、施設の安全管理、運営についてお願いをさせていただきました。
昨年8月と9月に発生した発煙事象について、原因の特定など、その後の対策について、田所林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。また、エコサイクルセンターの廃棄物の埋立てが、計画を大きく上回るペースで進行していることから、学識経験者や行政など関係者を委員とする、高知県における今後の管理型産業廃棄物 最終処分のあり方に関する基本構想 検討委員会が立ち上がり、これまでに5回の検討委員会の開催により、様々な角度から管理型産業廃棄物の最終処分のあり方が検討され、報告がされています。管理型産業廃棄物、最終処分の方向性、新たな処分場の施設規模、候補地の選定など、検討委員会の報告を踏まえた、基本構想案の概要について、田所林業振興・環境部長にお伺いしたいと思います。
川の次は山について質問をさせていただきたいと思います。県土の84%を占める全国一位の森林率を誇る、本県の森林の再生、利活用は、本県経済浮揚の最大の課題とも言え、今議会においては、議員提案で条例案も出されておりますが、森林を今後どう活かし宝の山に変えていくのか、取り組まなければならない課題は、文字どおり山積しています。本県では、全国に先駆けて平成15年度から森林環境税を導入し、間伐などの森林整備や保全、環境教育、水源涵養機能の強化などの施策を行ってまいりました。また、補助金などの助成制度も他県と比べても充実し、市町村単位でみても様々な補助事業等の実施などにより、県、市町村が一体となって手厚い森林政策を進めてきたと思います。しかしながら現実は、木材価格の下落が長く続き、森林所有者は山への関心が薄れ、戦後に植林された森林の多くが手つかずのままで、荒廃した森林が増加している現状にあります。新年度予算案においても、原木生産や木材需要の拡大、林業大学校準備室の設置、担い手の育成などに積極的な予算計上がされ、特に原木の増産をはかるために施業地を集約化する「森の工場」の拡大や、施業地の集約化に必要な森林情報を記載する林地台帳の整備に向けて、森林GIS地理情報システムの利活用などにより原木生産の拡大施策に取り組むとのことであります。森林整備を効果的かつ効率的行うために、森林の集約を進めることは大変重要なポイントであり、かつ困難な課題でもあります。そうした森林集約化の大きな壁となっているのが、個人情報保護の壁です。例えば、市町村の中で、山林所有者を把握するためには固定資産税の課税台帳を見れば、その所有者や管理者が誰なのか一定の把握ができますが、現在は個人情報保護など法の壁により、同じ役所内でも林業部局は税務部局が持つ課税台帳は閲覧ができないといった課題などがあります。過疎高齢化が進んでいる山間部では、森林所有者の高齢化や不在地主の増加、山への関心の低下などにより、山林の境界や所有者の確定が益々困難となっており、森林の集約化など効率的な作業を行うためにはそうした課題の解決が急務となっています。市町村の一部では、境界の確定や森林集約化への対応として、町村職員が林業事業者と所有者の間に入り、所有者や相続人の特定や交渉を行うなどの取り組みも始まっています。地元の役場など、行政が間に入ることにより、例えば他の自治体や県外にいる所有者や相続人にも信用と安心していただくことができ、契約などがスムースに進むメリットもあります。しかしながら、そうした取り組みも、職員数に限りのある小規模自治体では業務量も含め、多くの課題があります。県や市町村、地域住民、森林組合など林業に関連する事業者が連携を強め、境界の確定や森林の集約化を早急に行うことも期待がされていますが、山林の境界や所有者の明確化及び森林の集約化に関する県内の取り組み状況と今後の支援策について田所林業振興環境部長にお伺いしたいと思います。
そうした森林の集約化や境界の確定を図るために、大変重要な事業となっている国土調査、地籍調査事業については、所有者の高齢化や不在地主の増加などにより、事業の進捗が困難となっている現状があります。地籍調査事業は、境界の明確化だけでなく、公平な課税データとして、また、災害が起こった後の土地の復元にも役立つもので、行政の基礎となるものでもあります。その重要性は十分ご承知のこととは思いますが、特に山間地など高齢化が進んだ自治体などでは、所有者の高齢化や不在により、境界を知っている人がどんどん少なくなってきています。そうした事情も踏まえ、地籍調査事業については、境界の確定や、その先にある集約化や間伐などの森林整備、災害復興対策のためにも、重点的に予算や人員をかけ事業進捗のスピードを何倍にも上げ早期に完成を図るべきと考えますが、本県の地籍調査の進捗状況と予算も含めた今後の見通しについて福田土木部長にお伺いしたいと思います。
山林を集約して伐採しても、いわゆる川下の安定した需要がないと、川上の懸命な取り組みも水の泡となってしまいます。昨年、高知県と韓国の全羅南道が姉妹協定を締結し、様々な歴史を乗り越え新たな交流の一歩を踏み出しました。韓国には桧や杉といった植林資源が少ないこともあり、すでに様々な流通や商談がされており、今後の輸出拡大などにも期待がされています。新年度予算案においても、CLT建築の需要拡大に向けた取り組みの強化や、韓国や台湾などアジアへの輸出戦略拡大に向けた体制強化などが図られるとのことでありますが、そうした新たな海外戦略も含め、木材流通の現状と課題及び今後の見込みと戦略について、田所林業振興環境部長にお伺いしたいと思います。

次に、
介護従事者の処遇改善についてお伺いします。介護従事者の人手不足が深刻となっています。特に訪問介護員、いわゆる介護ヘルパーの業務については、要介護者ができるだけ自宅で日常生活を行えるよう、入浴・排泄・食事などの介助などを行うため、訪問介護員が一人で「利用者のお宅」に訪問しサービスを行っているものです。しかしながら、その業務はいわゆる3Kとも言われ、そうした労働環境が人材不足を招いている大きな要因ともなっているのは、ご承知のとおりであります。中山間部のある町では、居宅サービス事業所が、介護職員の高齢化や人口の減少などによる人手不足から、訪問介護員を確保することが困難な状況となり、本来は要介護者の状態に応じて居宅サービス計画を作成するものを、訪問介護員の行ける日に合わせる形で訪問サービスの回数を決めざるをえない状態となってしまい、要介護状態の軽減・悪化の防止といった、本来の居宅サービスの目的の達成が困難となる事例も発生していると伺いました。安倍政権の「ニッポン一億総活躍プラン」において、介護分野では、介護人材・障害福祉人材の処遇改善に新たに408 億円、介護の受け皿整備に634億円等が計上され、介護職員処遇改善加算の拡充を行うことも予定されていますが、介護従事者の処遇改善は、高齢化が進んでいる本県にとっては、就労の場としての需要も多く、定住対策としても重要な政策のひとつです。そうした政策が末端の労働者までしっかり行き届くよう、しっかりとした対策を講じる必要もあります、処遇改善加算の上乗せなど、人材確保策を含め介護従事者の処遇改善に向けた高知県独自の取り組みについて、門田地域福祉部長にお伺いしたいと思います。

次に
公衆無線LAN、通称「Wi−Fi」についてお伺いします。公衆無線LAN、通称「Wi−Fi」は、駅や空港などの公共施設や飲食店でケーブルがなくても、スマートフォンやタブレット端末、無線LANが使えるパソコンなどで、携帯電話の通信回線よりも高速かつ大容量の通信により、無料や割安でインターネットに接続できる仕組みの通信サービスです。これまで、大規模な災害時などに回線が混雑して、携帯電話がつながりにくくなったり、利用できなくなったりする事例があったことから、総務省は、防災拠点となる、避難所や公共施設などで、インターネットを使って通信環境を確保し、災害時の情報収集や安否確認に有効活用ができるよう、平成29年度当初予算案において、自治体への補助制度の新設など約32億円を計上するなどWi−Fiの整備を促進する方針を示しています。Wi−Fiの普及が遅れている本県においては、役場などの公共施設や防災拠点施設における整備、普及は必要不可欠であり大変期待もされていますが、そうした公共施設に加え、中山間における集落の拠点施設となっている「集落活動センター」や福祉避難所としての役割もある、「あったかふれあいセンター」などにおいても、Wi−Fi環境の整備が必要だと考えます。また、商店街などにおいても環境整備が進めば、災害対策だけでなく、近年増加している外国人観光客への対応など観光面でも有効的なサービスになるのではと期待するものであります。「公共施設」「集落活動センター」「あったかふれあいセンター」におけるWi−Fiの整備状況と、今後、県内全域でWi−Fi環境を広げていくための取り組みについて、岡崎文化生活部長にお伺いしたいと思います。

次に
観光振興についてお伺いします。高岡郡中土佐町、四万十町、梼原町、津野町、須崎市の高幡地域の5市町連携による初めての観光キャンペーン「奥四万十博」は、昨年4月10日四万十の日に開幕し、12月23日に四万十町でのクロージングイベントをもって閉幕しました。開会セレモニーの会場となった須崎市でのオープニングイベントには主催者発表で約2万5千人もの人々が訪れ、その後の高幡地域、奥四万十各地域でのタイアップイベントにおいても、多くの観光客、来訪者が奥四万十地域に足を運ばれました。「四国カルストから土佐の大海原へ」をコンセプトに、地域全体を一つの“パビリオン”に見立て、自然や食、歴史文化を高知県内外へと発信された、奥四万十博の成果と経済的な効果を含めた実績について、伊藤観光振興部長にお伺いしたいと思います。奥四万十博中に開催された各市町のイベント会場には、開催市町だけでなく、高幡地域の他の市町の出店者や、自治体職員などが相互に協力しあい、イベントの運営や出店をしている姿を多く見かけました。そうした地域や自治体間の連携や繋がりは、イベントの規模や内容の充実はもとより、運営面などでも2倍3倍の相乗効果として、今後の地域における貴重で大切な財産になったものと思います。また、奥四万十博は、高幡地域、奥四万十地域の今後の地域振興だけでなく、他の自治体などにおける地域連携観光のさきがけとして、今後の本県全体の観光振興などにおいても大変参考となるものでもあったと思います。奥四万十博における地域観光連携の効果と、今後の県内各地域における地域観光連携への支援について、伊藤観光振興部長にお伺いしたいと思います。
奥四万十博の後半には、須崎市のゆるきゃら「しんじょうくん」が、全国のご当地キャラクターや企業マスコットの頂点を決定する、ゆるきゃらグランプリ2016で全国1位となり、イベントに花を添え相乗効果をもたらしてくれました。ゆるきゃら「しんじょうくん」は、これまでの須崎市をはじめ関係各位の地道な努力によって高知県を代表するキャラクターに成長されたもので、あらためて須崎市をはじめ関係者の皆様のこれまでのご努力、ご尽力に敬意を表するものであります。この度の日本一誠におめでとうございました。そのしんじょう君ですが、日銀高知支店の試算では、あくまで、熊本県のくまモンと同程度に関連商品が売れたり観光客が増えたりという条件での試算ではありますが、その潜在的な経済効果は、480億円を超えると報道もされていました。高知県キャラクター観光特使ともなっている「しんじょうくん」ですが、もちろん須崎市との協議や調整のうえではありますが、今後は、関連グッズの全国展開や全国に向けたプロモーション活動など、須崎市、高幡地域のみならず、高知県全体で盛り上げ、高知県全体の経済波及効果へと繋がっていければと期待するものであります。また、昨年のこの2月議会の質問の中で、演歌歌手三山ひろしさんが、国民的番組NHKの紅白歌合戦に初出場され、その三山さんの新曲が「四万十川」ということで奥四万十博との相乗効果の可能性について取り上げさせていただきました。三山さんは、昨年暮れの紅白歌合戦においても、見事2年連続の出場を果たし、その新曲「四万十川」を見事に熱唱されました。その三山さんの昨年暮れの紅白歌合戦のステージで、熊本県のゆるキャラ「くまモン」が、三山さんと共演し並んで、けん玉を披露し、ステージの盛り上げに一役も二役もかっていました。くまモンの登場は震災からの復興支援の意味もありますが、私はその華やかなステージをテレビで見ながら、三山さんのバックで、しんじょう君やかつお人間が躍って高知県をPRする。そんな姿を想像していました。契約的な問題もあるのかも知れませんが、キャラクターや芸能の世界にはどうしても流行の波がございます。個別の事例だと言えばそれまでかも知れませんが、いい波の時にその波を捉え、もう1段2段飛躍させていく、そんなタイムリーな取り組みも大切なことだと思います。日本一の人気ゆるきゃらとなった「しんじょうくん」や全国的なテレビ番組にも出演されている三山ひろしさんなど、高知県発のメジャーで旬なキャラクターや人物を活かした高知家プロモーションなどの取り組みについても、ご検討いただければと思いますが、松尾産業振興推進部長にお伺いしたいと思います。


いよいよ「志国高知幕末維新博」があさって開幕します。大政奉還、明治維新150年を記念とした歴史博覧会は、幕末に多くの維新の志士を輩出した、本県にとって、まさにうってつけの年にタイムリーな博覧会の開催でもあり、1月に発表された龍馬の新書簡も大きな追い風になるものと期待がされています。博覧会は、今週オープンする、高知城歴史博物館と坂本龍馬記念館をメイン会場に、県下20の地域会場を主体に行われますが、特に地域会場については、この博覧会を機会に歴史資源の磨き上げや観光クラスター形成の取り組み、周遊コース、食や宿泊などを含んだ観光交通の整備を進めるなど、受け皿となる地域も期待して開幕を待ちわびています。
本日の質問においては、仁淀川、奥四万十博、しんじょうくん、三山さん、そしてあさって開幕する、志国高知幕末維新博について触れさせていただきましたが、本県には他にも、海、山、川の自然をはじめ、暖かな人情、日本一の美味しい料理やお酒、大型客船の寄港によるインバウンド観光など枚挙にいとまないほどの人や資源があります。450万人と言わず、将来は500万人、1千万人観光を目指してほしいし、高知県にはその伸びしろ、素地が十分にあると思います。
そうした意味も踏まえて、いよいよあさってに開幕する「志国高知幕末維新博」への決意と、さらにその先にある本県の観光振興への意気込みについて、尾ア知事にお伺いして一問目とさせていただきます。。



●尾ア知事
大野議員の御質問にお答えをいたします。まず、来年度の国の当初予算における地方財政に関する所見並びに本県の国への提言活動について、お尋ねがございました。
地方がそれぞれの地域の実情に応じて必要な取り組みを着実に実行していくためには、その財源として地方全体の一般財源総額がしっかりと確保されるとともに、その中でも地方交付税について、それぞれの団体の置かれた状況などを反映して適切に算定、配分されることが重要と考えております。来年度の国の当初予算と一体的に策定された地方財政計画におきまして、まず、地方一般財源の総額については、今年度を0.4兆円を上回る62.1兆円が確保されたところです。他方、同計画では、リーマンショック後に創設された歳出特別枠が圧縮されており、これまで歳出特別枠により有利な配分を受けていた団体においては地方交付税が一定圧縮されることになります。地方一般財源の総額が増額確保されたことは評価できますが、リーマンショック後の危機対応モードから平時モードへの切りかえを進めていくという方針に添って、本県を始めとする財政力の弱い団体の一般財源が圧縮される流れが今後も続くのではないかと懸念しているところであります。このため、引き続き政策提言において、地方一般財源の総額をしっかりと確保するとともに少子高齢化に伴い人口が減少しているからこそ創意工夫を凝らした地方創生の取り組みが必要であるといった、地方の実情を地方交付性の算定に適切に反映するよう求めてまいりたいと考えております。

次に、現在の中山間地域における現状に対する課題認識と、新たな中山間振興交通部における今後の中山間対策の重点施策について、お尋ねがありました。
本県は高度経済成長期の大都市圏への若者の人口流出とそれに伴う高齢化や少子化、全国に先んじた人口の自然減等により経済規模が縮小し、それがさらなる人口の減少を引き起こすという負のスパイラルに陥ってきました。中でも中山間地域への影響は特に大きく、県としても、平成24年度には担当理事を置き、中山間対策を5つの基本政策を横断する総合的な政策として抜本的に強化して取り組んでまいりました。集落の維持再生の取り組みや、あったかふれあいセンターなどの地域の保健福祉の拠点づくり、鳥獣被害対策や生活支援などでは一定の成果も見えてきてはおりますが、いまだ大きな流れを変えるまでには至っておらず、継続して強力に取り組んでいく必要があるものと認識しております。
中山間地域の課題は産業、医療、福祉、生活など多岐にわたっており、全庁を挙げた総合的な取り組みが必要であります。このため、新たな中山間振興交通部は施策連携によるより効果的な総合対策を推進するための全庁的な企画及び調整を行う役割を担ってまいります。施策については、関係部局で構成する中山間総合対策本部のもとに、引き続き産業をつくる、生活を守るの2つを政策の柱に据え、誰もが一定の収入を得ながら安心して暮らし続けることができる中山間地域を目指し、これまでの取り組みをさらにバージョンアップさせながら取り組んでまいります。
具体的にはまず、産業をつくる取り組みにつきましては、産業振興計画の1次産業を中心とした産業成長戦略を第1層、地域資源を生かした地域アクションプランの取り組みを第2層、そして、これらの取り組みが行き届きにくい小規模な集落などを対象とした集落活動センターによる取り組みを第3層とした3層構造で、各層の取り組みをしっかり連携させステップアップしていくことが重要だと考えております。中山間地域の本来の強みである農業や林業などの振興を柱としながら、あわせてこれらの地産外商の取り組みや、地域の魅力を生かした観光拠点の形成などの取り組みを進めていくとともに、こうしたより大きな経済活動の一部を集落活動センターが担っていくという取り組みを進めることなどで、中山間地域全体の持続的な発展につなげていくことができればと考えているものであります。
次に、生活を守る取り組みにつきましては、買物や移動手段の確保といった生活支援対策も引き続き重点施策として進めてまいります。中でも、地域に住み続けていくための要となります、移動手段確保の取り組みにつきましては、コミュニティバスや乗り合いタクシー、過疎地有償運送など地域地域の実情に適したさまざまな手段がございますため、市町村の自主的な取り組みを積極的に後押ししてまいりますとともに、集落活動センターの支えあいの仕組みづくりの充実や、あったかふれあいセンターの生活支援サービスとの連携に取り組んでまいります。
また、農作物への直接的な被害だけでなく、地域住民の方々の工作意欲をも失わせかねない鳥獣被害への対策にも引き続き重点的に取り組み、集落ぐるみの防除対策や鹿等の捕獲対策のさらなる強化を図ってまいります。
引き続き住民の方々が安心して暮らし続けることができる中山間地域づくりに向けて市町村としっかり連携して、全庁的に全力で取り組んでまいりたいとそのように考えております。
次に、担い手不足や定住対策、地域の活性化策として、子供から高齢者までの生涯学習、社会教育を活用し充実させていくことの重要性について、お尋ねがございました。
地域が抱えるさまざまな課題の解決や中山間地域の維持再生に向けては、住民が主体となり地域外の人材等も活用しながら地域全体で取り組むことが必要であります。このための住民主体の取り組みや集落間の連携の仕組みづくりには、住民1人1人の資質や能力を伸ばす人づくりや、住民同士がネットワークを形成し主体的、積極的につながりあって行動する地域づくりが重要だと思います。議員からご提案のありました集落活動センターやあったかふれあいセンターにおいて、子供からお年寄りまでが集い、お互いに学び合うことは世代間をつなぐ人づくりや活力ある地域づくりにつながるとともに、子供たちの郷土への愛着と誇りを育む上でも鍵となるものと考えております。
南国市を始め複数の集落活動センターでは、その活動拠点を地域の身近な学習や文化活動の場である公民館に置き、地域住民と大学との連携による地域再生の取り組みや学校支援地域本部との活動支援を通じた大人と子供たちとの交流、多様な世代、多様な職種の地域リーダーたちによる交流などにより、産業、福祉、教育の枠を超えて地域の活性化や人材育成にも効果を上げております。
集落活動センターは、来年度当初には40カ所程度となるみこみであり、あったかふれあいセンターはサテライトを含め250カ所以上に広がってまいります。その展開の際には、南国市を始めとする優良な取り組み事例を周知していくことなどにより、両センターの活動において世代を通じて学び合う生涯学習の仕組みがさらに広がり、担い手の確保や定住対策、地域の活性化にもつながっていきますよう取り組みを進めてまいりたいと考えております。

次に、スポーツ行政の一元化における文化生活スポーツ部の目指す姿と果たす役割について、お尋ねがございました。
スポーツは心身の健康増進に重要な役割を果たすほか、競技力向上を目指すトップアスリートにとっては競技力の向上に努め、成績の向上やトップをきわめることにより自己の成長を実感するものとなり、また、スポーツを見る者や支える者にとっては選手の活動を通して、誇り、喜び、夢と感動を与えてくれるものであります。こうしたスポーツの役割や効果は、今年5回目を迎えた高知龍馬マラソンが1万人を超える参加者や多くの県民の皆様がボランティアとしての参加を通じて、県内の一大イベントとして定着したことからも伺うことができ、県民の皆様のスポーツに対する熱の高まりも実感しているところであります。
これまでも教育委員会を主体として本県スポーツの振興に取り組んでまいりましたが、私としましては、こうした機運の高まりからスポーツが持つ力をより県民の皆様に実感していただけるよう、本格的にスポーツ振興に取り組む機が熟してきたではないかと感じたところであります。こうしたことから来年度からは文化生活スポーツ部において学校体育以外のスポーツ関連施策を総合的一体的に展開し、県民の皆様の心身の健康増進や子供たちの知・徳・体の教育効果の向上、さらには競技力の向上、交流人口の拡大につなげる形の地域の活性化を目指してまいりたいと考えているところであります。このため、文化生活スポーツ部が果たすべき役割としましては、競技力の向上、生涯スポーツの推進、スポーツツーリズムの振興の3点が挙げられると思っております。
具体的には、まず、競技力の向上につきましては、ジュニア世代からトップアスリートまで組織的かつ系統立てて選手を育成する。競技団体と連携して選手のサポート体制を充実する。2点目の生涯スポーツの推進につきましては、より多くの県民の皆様が日常習慣として運動を行える環境を整え、障がいのある方のスポーツ活動機会を大幅に拡大をする。3点目のスポーツツーリズムの振興につきましては、東京オリンピック、パラリンピックなどの事前合宿の誘致や、プロ、アマチュアのスポーツチームのキャンプや大会を誘致する。高知龍馬マラソンを始め、本県の豊かな自然を生かしたスポーツイベントや全国規模の大会を開催するなどの施策を展開していきたいと、そのように考えています。
さらに、スポーツ振興策を推進していく上での共通基盤となるスポーツ施設におきましても、文化生活スポーツ部が整備計画を取りまとめ計画的な整備を進めてまいりたいと考えております。
こうした取り組みを実効あるものとしていくため関係する方々のお知恵もお借りし、各部や教育委員会との連携を図りながら県内のスポーツ振興全体を牽引していく役割を果たし、官民協働でPDCAサイクルを回していくことにより、県内スポーツ全体の底上げを図ってまいりたいと考えております。

次に、仁淀川保全条例の制定も含めた仁淀川の今後の保全対策について、お尋ねがありました。仁淀川は豊かな自然環境や景観に恵まれており、水道資源や農業用水として使われるほか、製紙業等の特徴のある地場産業をも育むとともに、川遊びやアユ漁などで地域住民にも親しまれる生活に密着した川であります。そして、国土交通省が実施している全国の1級河川の水質ランキングで4年連続の日本一に選ばれており、まさに仁淀ブルーという表現がふさわしく、今や、本県を代表する全国区の観光資源となっています。
仁淀川清流保全計画が策定された平成11年当時、人口が集中し産業が発達した下流部において、生活系排水や事業系排水等による水質汚濁が問題となり、この計画は良好な水環境を保っていくことを目的として策定をされました。そのうち、平成22年には豊かな水量の確保や生態系、景観の保全、流域固有の水に関する文化の継承など、今日的な課題への新たな取り組みが加えられ、その推進に当たっては、住民や団体、事業者、さらには各分野の専門家が互いに協働するとされたところであり、今日までこうした包括的な枠組みのもとで、流域全体で仁淀川の清流保全に取り組まれてきています。こうした住民の皆様の愛着や思いや活動が、仁淀川を上流から下流まで良好な水質が保たれ、奇跡の清流と呼ばれる川にまで育ったのだと思っております。
県としましては、今後とも流域の住民の皆様や市町村などと連携協働して、この美しい仁淀川を次の世代につなぐことができるよう、仁淀川清流保全計画に基づく活動にしっかりと取り組んでまいります。仁淀川を保全するための条例については、こうした取り組みを進める中で、流域の住民の皆様や市町村等の御意見などを踏まえ、その必要性を検討していきたいと考えておるところであります。

最後に、志国高知幕末維新博への決意とその先の観光振興への意気込みについてのお尋ねがありました。
いよいよあさって開幕を迎える志国高知幕末維新博につきましては、博覧会の開催による観光客の増加はもとより、2年間の開催期間を通じて、第1に地域、地域における歴史資源の磨き上げを、第2に磨き上げた歴史資源と地域の食、自然などを連動させた周遊コースづくりを、第3に外国人観光客を含めた受け入れ環境基盤の整備をといった3つの取り組みを進め、歴史を中心とした観光基盤の底上げを図っていくことを目的にしております。
このため博覧会の開催期間においては、きめ細かくPDCAサイクルを回し、改善すべき点は速やかに改善し、伸ばすべき点は大きく伸ばすなど、観光資源や周遊コースの磨き上げを不断に行ってまいりたいと考えております。これにより、この2年間で地域の地力をしっかりと身につけ、まずは、第3期産業進行計画の目標である435万人を上回る入り込みを実現し、その後も435万人観光が定常化するように取り組んでまいります。また、この2年間を通じて磨き上げた地域、地域の歴史、食、自然などの観光資源が博覧会の期間中のみならず、その終了後もそのまま継続し自律的に発展し続けていくレベルにまで達することも重要な目標であります。その上で、産業進行計画に掲げた地域、地域で若者が誇りと志を持って働くことができ、県政浮揚にも着実につながっていく、そうした姿の実現を目指し、10年後の目標として掲げております470万人観光についても相当高いハードルではありますが可能な限り前倒しで達成できるよう、さらなる官民協働、市町村政との連携協調のもとで全力で取り組んでまいりたいと考えております。


●田村教育長
本格的に競技力の向上を目指す上での競技団体や指導者、学校、大学などとの連携についてお尋ねがございました。
まず、競技団体や指導者につきましては、現在各競技において系統立った指導ができる体制を強化するために、競技団体が行う一貫した指導のための育成プログラムづくりを支援する取り組みや、コーチングに必要な内容を総合的に学ぶコーチアカデミー等を実施する中で年間を通して連携を図っております。また、学校につきましては、中学校体育連盟や高等学校体育連盟の協力を得ながら、運動部活動の充実に向けて県外の優秀な指導者やチームの招聘を進めるとともに、それらの取り組みの中で小中高が合同で練習会を実施するなど、校種間連携も進んでおります。そのほか、大学には県が実施する指導者研修等の講師を派遣していただくとともに、県担当者のコーディネートのもと、スポーツ心理学やスポーツトレーニングなど専門性の異なる県内外の大学の先生方に関わっていただく指導体制も構築されております。その成果として、レスリング競技や飛び込み競技では、世界レベルでの活躍が見られるようになりました。
今後は、来年度から指定するスポーツ強化校や外部指導者の活用の拡充を進める中で、これらの複数の指導者が関わる仕組みを関係者の理解を図りながら、学校や競技団体などにも広げるよう努めてまいります。
さらに、知事の提案説明にもありましたように、県としましては、来年度新しい体制のもとで、産業、福祉、教育などの多分野にわたる関係者による協議の場を立ち上げた上で、他分野の皆様方の御協力もいただきながら、財政面も含めた協議環境の向上を官民一体となって進め、本県の競技力向上に取り組んでまいります。


●伊藤観光振興部長
まず、仁淀川を利活用した観光振興と仁淀川流域市町村の連携による観光振興への支援について、お尋ねがありました。
仁淀川は議員からお話がありましたように、国土交通省の水質調査において4年連続で水質が最も良好な河川となっております。そして、この流域には、仁淀川に育まれた自然、歴史、文化、食、体験など多くの魅力的な観光資源があり、それらを生かした観光地づくりを目指して、現在越知町では全国ブランドを有するアウトドア用品の製造企業の監修により、仁淀川流域の観光拠点施設となるキャンプ場の整備が進められているところです。
加えて、今月4日から開幕する志国高知幕末維新博では、いの町紙の博物館と青山文庫が地域会場となり、周辺地域の自然や食、文化などともしっかり連携して歴史観光の受け入れ体制の準備が図られており、県としましても、市町村が行うこうした観光基盤の整備に対して、計画段階からのアドバイザー派遣や補助金などにより支援を行っております。
また、仁淀川流域の広域観光を推進していく母体としまして、流域の市町村や観光協会で構成する仁淀川地域観光協議会が平成22年に発足し、奇跡の清流仁淀川や仁淀ブルーをキャッチフレーズとし、仁淀川の観光資源を集約して地域の観光事業者と連携しながら旅行商品の造成と旅行会社へのセールス活動や国内外へ向けたPR、地域の観光を支える人材の育成に取り組んでまいりました。
その結果、仁淀川町の桜、佐川町上町の町歩き、屋形船仁淀川などが観光商品として取り上げられ、旅行会社のツアーが再考されることで仁淀ブルーの全国的な知名度の高まりと相まって、流域の観光施設、体験プログラム、道の駅などへ数多くの誘客へつながっております。
さらに、これらの取り組みを加速していくため、平成27年12月には協議会を法人化し、一般社団法人仁淀ブルー観光協議会と改め、平成28年度からは、県職員を専任の事務局長として派遣するなど体制も強化しております。県としましては職員の派遣を始め、仁淀川流域の市町村が連携する協議会のもとで実施する、流域の観光商品の磨き上げや観光人材の育成、セールスプロモーションの展開など一連の取り組みに対してしっかりと支援してまいります。

次に、奧四万十博の成果と経済的な効果を含めた実績や奧四万十博における地域観光連携の効果と、今後の各地域における地域観光連携の支援について、お尋ねがありました。関連いたしますのであわせてお答えをいたします。
平成28年4月から12月まで開催しました2016奧四万十博では、高幡地域の5市町を始め関係団体によって推進協議会を立ち上げ、地域が主体となった観光博覧会が展開されました。この博覧会では、エリア内の道の駅や温泉施設の共同キャンペーンにより育まれた地域連携の強化、新たな体験プログラムの造成、磨き上げなどを通じた観光地としてのレベルアップ、旅行会社へのセールス活動やメディアの活用により培われたプロモーション力の強化にあわせて、奧四万十の認知度の向上といった成果があったと考えております。
博覧会の入り込み客の実績は、過去3カ年の平均と比べまして、主な宿泊施設の宿泊者数は5.9%増の約6万人、主要観光施設の入れ込み客数は4.7%増の約189万6,000人、体験プログラム参加者は79%増の約2万5,000人、イベント参加者は71.4%増の約36万2,000人となりました。この入り込み客数増加に伴う経済的な効果としましては、2月23日に開催されました奧四万十博推進協議会本部会におきまして、約9億8,900万円の観光消費額と報告されています。
来年度からは、博覧会から得られた成果やノウハウを生かして継続した取り組みが実施できるよう、高幡広域市町村圏事務組合の中に専任職員を配置し、5市町が連携して広域観光を推進していくとお聞きしております。また、これまで幡多地域や東部地域におきましても、博覧会をきっかけといたしまして観光事業者間の連携が深まり広域観光を推進する組織が整い地域が主体となった観光地づくりが進んでおります。
 県としましては、先ほどお答えいたしました仁淀ブルー観光協議会も含めて、このような広域観光組織に対して、今後も引き続き旅行商品の造成、販売や周遊コースづくり、情報発信、地域の観光を支える人材のスキルアップなど、官民が連携した広域的な観光地づくりの推進に向けてしっかりと支援してまいりたいと考えております。


●田所林業振興環境部長
エコサイクルセンターにおける発煙事象の原因の特定など、その後の対策についてお尋ねがございました。
 これまで複数の専門家や試験研究機関、消防機関等の協力を得ながら、発煙事象の原因を特定するために発熱した廃棄物の成分分析や水を点下しての発熱試験などによる検証を行ってまいりました。加えて廃棄物にはいったフレコンバックに点下する水分量などの違いによる温度変化を確認する実証試験も行いましたが、エコサイクルセンターで想定している散水量、時間雨量換算で0.17oの少雨程度の水量はもとより、その数十倍となるやや強い雨程度の水量でも温度上昇は確認されませんでした。こうした取り組みによっても原因の特定までは至っていませんが、消防庁の消防研究センターには、現在も引き続き検証作業を行っていただいているところでございます。
このように、発煙の原因はいまだ特定されていませんが、専門家などからは、鋳物砂の中にあった何らかの金属が水に触れて発熱したことが疑われるとの見解をいただいておりますことから、これまで消防機関の指導のもと、再発を防止するための対策を講じてまいりました。具体的には、雨水が処分場内に浸入したことが発煙の発端と考えられたことから、雨水の浸入防止対策を講じるとともに、廃棄物の安定化のための散水を一時的に中止しております。また、24時間の監視体制の整備や万一の場合に備えて発煙した廃棄物と同種の廃棄物の埋立場所を壁際から中央部に移動させ、遮水シートへの影響を防ぐ対策も講じたところでございます。加えて、専門家からのアドバイスに基づき、これまでのフレコンバックに入った状態で埋め立てる方法をフレコンバックから廃棄物を取り出し、燃え殻と混ぜて埋め立てる方法に変更いたしました。
 今後は、消防研究センターにおける検証結果が出ましたら、これまでにいただいた専門家からのアドバイスなども踏まえ発煙の原因についての最終的な判断を行いますとともに再発防止策を改めて整理し、それらを確実に実践することにより、一層の施設の安全管理に努めてまいります。

次に、高知県における今後の管理型産業廃棄物最終処分のあり方に関する基本構想案の概要について、お尋ねがございました。
昨年12月基本構想検討委員会から、検討結果を取りまとめた報告書を県に提出いただき、その後、この報告書の内容を踏まえ、県としての基本構想案を策定したところでございます。この基本構想案では、エコサイクルセンターの埋立が終了した後も、引き続き管理型産業廃棄物の適性な処理を行うとともに、県内事業者の安定した経済活動を下支えしていくためには、県内に新たな管理型産業廃棄物場を整備する必要があること、新たな施設は、公共関与の手法により整備を進めていくこと、埋立期間を20年間とし、埋立容量は17万立方メートルから23万立方メートルまでの範囲とすること、エコサイクルセンターと同じ屋根つきの被覆型とし浸出水を放流しないものとすること、候補地の選定に当たってはコンサルタントの専門的な知識、技術を活用するとともに有識者などを構成メンバーとする委員会により、候補地の絞り込みを行い、最終決定は地元合意を図った上で県が行うこと等の考え方をお示ししています。
この基本構想案につきましては、今後さらに県議会での御義論をいただき、本年度内に基本構想を策定したいと考えております。

次に、森林の明確化や集約化の取り組み状況と今後の支援策について、お尋ねがございました。
県では、平成14年度から森林の集約化を促進するために必要となる森林情報の収集や現地調査、森林所有者との合意形成等に対して支援を行ってまいりました。また、平成21年度からは、林業事業体が行う境界の測量に対しても支援を行っており、こうした取り組みの結果、施行地の集約化を図る森の工場の認定面積は、平成27年度までに約6万6,000ヘクタールとなっております。
しかしながら、議員のお話にありましたとおり、森林所有者の高齢化や森林の所在地に居住していない土地所有者が年々増加していることが、境界の確定や森林の集約化など適正な森林管理を行う上で全国的な課題となっております。
こうした課題の解決に向けまして、昨年5月森林法が改正され、森林の集約化を進めるため、市町村が森林所有者や森林境界の情報を取りまとめ林業事業体などに提供することができる林地台帳制度が創設されました。このため、県では来年度から県と市町村とを結ぶ総合行政ネットワークを活用して、森林情報の共有化を進めることにより、市町村の林地台帳の円滑な整備運用に向けた取り組みを支援することとしています。こうした取り組みを着実に実行するとともに、これまで以上に市町村と連携を図りながら、境界の明確化などの森林情報の整備や施行の集約化を推進してまいります。

最後に、新たな海外戦略も含め、木材流通の現状と課題、今後の見込みと戦略についてお尋ねがございました。
平成28年における本県の木材の輸出は、アジア地域に向けた製材品が約2,800立方メートル、原木が550立方メートルとなっています。製材品については、ヒノキを好む韓国への輸出割合が57%と高く、原木については全量が韓国への輸出となっています。しかしながら、韓国については、全国各地からヒノキ材が輸出されていることや中国で加工された安価な製品が韓国へ輸出されるケースも見られるなど、競争は厳しいものとなっています。
他方、アジア地域には自国で使用する木材を輸入に頼る国等もみられ、商慣行の違いや為替の変動等課題があるものの、こうした国等に対して県産材製品の輸出に向けた取り組みを行っていく必要があると考えております。
このため、県では主要な輸出先である韓国への取り組みを強化するとともに、CLTを含めた県産材製品の他のアジア地域への輸出の促進にも取り組むこととし、引き続き県内事業者への輸出に関する営業や商談、バイヤーの招聘等を支援するほか、新たに韓国の見本市への共同出展や海外における県産材製品を使用した物件への支援を行うこととしています。特にCLTにつきましては、環境に対する配慮から木造建築への関心が高まっている台湾をターゲットとし、本格的な輸出に向け現地の建築に関するニーズや流通の課題、輸出コストに関する調査を行いますとともに、台湾の建材展に出展するなどPRにも取り組んでまいります。こうした取り組みを展開していくことによりCLTを始めとする県産材製品のさらなる輸出促進へとつなげていきたいと考えています。


●福田土木部長
地籍調査事業につきまして、本県の進捗状況と予算を含めた今度の見通しについて、お尋ねがございました。
本県の地籍調査事業の進捗率は、平成27年度末で53.4%で、全国平均の51%を上回っており、毎年約1%の進捗となっております。その中で、山間部につきましては、平成27年度末の進捗率は約55%と宅地や農業地などと比較いたしますと若干進捗が早い傾向にございます。一方で、議員からお話のありましたとおり、山間部では、土地所有者の高齢化や山林の荒廃の進行等によりまして、境界の確認が困難となるケースも発生しております。このため、森林の境界を確認するために国が行っております、山村境界基本調査などもあわせて実施することにより、森林の境界の確定についてより効果的に進められるように努めているところです。
さらに、国においては山間部における土地境界の位置確認方法について、航空写真や衛生画像を用いて図上作業のみで土地境界の位置を確認するといった新たな手法の検討も行われております。今後、このような手法が導入されれば、より効率的な地籍調査が可能となる見込みです。
地籍調査事業は、東日本大震災の発生を契機に南海トラフ地震に備えた防災対策や復旧、復興事業を円滑に進める観点からも、事業のスピードアップが求められております。平成29年度に行う事業については、平成28年度補正分と合わせて、事業費ベースで23億5,453万6,000円。対前年度比で約1割増を国に要望しており、それに必要な県の負担金も今議会の平成29年度当初予算案において計上させていただいております。地籍調査の進捗については、市町村によって大きな差がございます。今後進捗が遅れている市町村に対して、より効率的な調査手法の普及や技術支援等を行うとともに、国に対して所用の財源の確保に向けて積極的な働きかけを行い、一層の調査の加速化を図ってまいります。


●門田地域福祉部長
介護従事者の処遇改善に向けた本県独自の取り組みについてお尋ねがございました。
本県における介護人材は、平成37年には約900人の不足が見込まれておりますことから、人材を安定的に確保していくため、日本一の長寿健康県構想の5本の柱の1つとして、医療、介護などのサービス提供を担う人材の安定確保と産業化を位置づけ、定着促進、離職防止対策と新たな人材の参入促進策の充実を軸に取り組みを進めているところでございます。全国的に介護人材が不足する中、職員の処遇の改善が大変重要となりますことから、これまで国に対しまして、全国知事会を通じて処遇改善の提言を行ってきましたところ、平成29年度の介護報酬会計において、新たに月額平均1万円相当の処遇改善加算が設けられることになりました。県といたしましては、各事業所がこの新たな加算を活用するために必要となる、就業規則や賃金規定の見直しなどにかかる負担に対し、国の新たな補助金も活用し、本県独自の補助制度を設けることなどにより、多くの事業所で加算の取得ができますよう支援してまいります。また、その加算が実際に個々の職員の処遇の改善につながっていることを、介護事業者に対し指導監査を通じて確認もしてまいります。さらに、人材の定着促進、離職防止対策として、職員の働く上での悩みなどを解消するための相談窓口を設置するほか、新たな人材の参入促進策として業務の切り出しや再編成を行い、柔軟な働き方を可能とすることにより、これまで介護現場で働くことが難しかった高齢層も含めた地域の多様な人材の就労を促進していく取り組みを新たに行ってまいります。これまで行ってまいりました中山間地域の住民の方を対象とした介護職員初任者研修の開催支援などに加え、こうした新たな取り組みを総合的に実施をいたしまして、地域で介護の仕事につく人をふやすことで、定住促進にもつなげるとともに地域、地域で必要な介護サービスが受けられる環境づくりに努めてまいります。


●岡崎文化生活部長
公共施設などにおけるWi−Fiの整備状況と県内のWi−Fi環境を広げていくための取り組みについてお尋ねがありました。Wi−Fiは光回線などの超高速ブロードバンドの基盤があれば、比較的安価な設備の設置によって整備することができますので、各施設が主体的に整備を進めているところです。昨年総務省が各都道府県及び市町村に対して実施をいたしました整備状況の調査によりますと、県内の指定避難所や役場、観光施設などの公共的な観光防災拠点では70カ所で整備をされております。一方、中山間地域の拠点施設である集落活動センターでは、センターを利用される方々の利便性向上のため30カ所の内現在5カ所で整備されているところでございます。また、あったかふれあいセンターにつきましては、地域の集会所や公民館等を使用している場合が多く、現在のところ3カ所で整備されておりますが、来年度以降、そうした施設の防災機能強化の観点から18カ所で整備される予定と聞いております。
県内では、特に中山間地域においてWi−Fiが普及していない状況にありますが、超高速ブロードバンド基盤の整備自体が進んでいないこともその要員の1つとして挙げられます。集落活動センターを例に挙げますと、9カ所ではまだ基盤が整備されておりません。このため、県ではこうした拠点施設や地域の基盤整備に取り組む市町村に対しまして、利用しやすい補助制度を設けております。また、今回、国において新設された補助制度では、地域の拠点施設を防災拠点として市町村が避難所に指定した場合は、光回線を含めたWi−Fiの整備が補助対象となります。
今後も引き続きこれらの県や国の補助制度について市町村に周知し、活用の働きかけを行いながら、超高速ブロードバンド基盤の整備を進めるとともに、各施設のニーズに応じたWi−Fi設備の整備や観光客などの利便性の向上にあわせて取り組むことで、県内にWi−Fi環境を広げてまいりたいと考えております。


●松尾産業振興推進部長
本県初のメジャーで旬なキャラクターや人物を生かした高知家プロモーションの展開などのについてお尋ねがありました。
広く全国に食や自然、人といった高知の魅力を発信し、本県に対する認知度の向上を図る高知家プロモーションを展開する上では、全国的なトレンドや話題などをタイムリーに織り込むことが大変重要なポイントであると考えております。そのため、これまでにも全国的に活躍されている本県出身の著名人の方々に御協力いただき、話題化や注目度のアップにつながる取り組みを行ってまいりました。具体的には、高知家のプロモーション動画には当初から広末涼子さんに御出演いただくとともに、高知家の歌につきましては島崎和歌子さんに歌を、岡本真夜さんに作曲をお願いしてきたところでございます。
お話のありました、今、全国的に大変人気が盛り上がっておりますしんじょう君には、先月東京有楽町で開催しました幕末維新博や県産品をPRするイベントに登場いただき、会場を多いに盛り上げていただきました。また、三山ひろしさんにつきましては、昨年10月の県内で行われたコンサートに、高知家のプロモーションの看板スターである爺―POPのメンバーの皆さんにゲスト出演する機会をいただきました。加えて今年の5月から6月にかけて大阪で開催される予定の三山さんの特別講演の会場で、本県の観光や物産をPRしたいとの大変ありがたいお話もいただいております。このように人気のキャラクターや著名人の方々には、これまでも多くの場面で本県の取り組みに御支援、御協力をいただいておりますが、今後とも高知愛にあふれるこうした方々とのつながりを大切にしながら、タイムリーで効果的な高知家プロモーションの展開などを図ってまいりたいと考えております。
■大野たつや(第二問)
尾ア知事をはじめ、執行部の皆様から、それぞれ丁寧なご答弁をいただきました。本当にありがとうございました。
今日は中山間、どちらかと言えば、そのまだ先、奥山間の実態の一端を基に、特に対策が急がれる事例を中心に質問をさせていただきました。
中山間対策について尾ア知事に再質問したいと思います。私も、中山間、奥山間で暮らし、学び、働いてまいりましたが、買い物や移動手段の問題、地域における担い手不足、そして介護サービスといった、いずれの課題も、奥山間から中山間、そして高知県全体、さらに日本全国へと進んでいく深刻な課題であると思っています。特に喫緊の課題となっている、買い物や移動手段の課題については、現在サービスを行っている交通機関や商店、移動スーパーなどの民間や自治体から十分な意見聴取や実態の把握をしていただいたうえで、真に有効な支援策を行っていただくようお願いしたいと思います。
中山間における小さな拠点として、集落活動センターやあったかふれあいセンターの取り組みが県下各地にどんどん広がってきています。そうしたセンターの仕組みは、決してそれを作ることが目的ではなく、あくまでそれらは手段の一つで、その先にある地域の姿や目標をしっかりもって活動していくことが、大切なことだと思います。それは、各種の事業や活動、イベントなどもしかりです。
その活動や事業の目的、目標を地域やそれに携わる職員などがしっかり共有して活動していくことが、大切なことだと思います。県の職員さんには、これからも、その活動や事業、仕組みの、その先にある目的、目標を、地域や市町村、自治体ともしっかり共有していただいたうえで、今後ともより一層の力強い支援をお願いしたいと思います。



●尾ア知事
この中山間対策について、3つの思いを持って取り組んでいきたいとそのように考えているところであります。
まず、第1に、中山間地域、奧山間地域にその地域を愛して住み続けておられる多くの皆様がおいでになります。その皆様方の暮らしを守る、生活を守るそういう視点でもってその思いに応えるようにしっかり頑張りたいとそのように思います。
そして2点目でありますけれども、私、常々申し上げておりますが、中山間、そういう地域にこそ本来の高知県の強みの源泉があるんだとそのように考えています。高知の観光の売りは自然であり、食であり、そういうものをもともと生み出しているのは中山間地域なのでありまして、この中山間地域を大事にしなければ、私どもは中長期的な発展のよすがを失ってしまうことになりかねません。中長期的な発展を確保するためにも、私どもは中山間対策しっかりやらなければならんと思っています。
そして、3点目でありますが、今、高知はこの中山間問題、奧山間問題で大変苦しんでおりますけれども、しかし、いずれ日本全体がこういう状況になります。私どもが今経験していることはいずれ日本全体に必ず役に立つはずなのであって、また、ある意味政府は、この、今、中山間、奥山間対策に挑戦している私たちをぜひ応援していただくことでもって、今後、この先、高知以外の地域の対策にも役立てていただきたいものだと、そのように思っています。そういう観点からいけばですね、ひとえに本県だけでの課題ではなくて全国的な課題なのだとそういう思いをもって、対外的にも私どもの苦境と、そして対策、どういうことをやろうとしているかということについてしっかり発信していくとそういう姿勢でやっていきたいものだなと、日本全国巻き込んでやっていきたいとそういう思いであります。


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